インプラントのリスクについて

治療前に知っていただきたい、インプラントのリスクとは

インプラントのリスクについて、メディアなどで耳にすることもあり、皆さまとても心配で安全性が気になるところだと思います。

リスクは、

  • 人為的なミス
  • インプラントと骨がくっ付かない
  • インプラントが長持ちしない

などがあげられます。

また歯周病や糖尿病などの全身疾患などでインプラントの治療ができない場合があります

最もこわいリスク「人為的なミス」とは

CTの撮影をもとに治療計画を立てていないとおこり得るミス

最も大きいリスクは手術中に神経や血管、骨を傷つけてしまうことです。
このような事がおこる原因は、CTで診査・診断しなかったことや治療技術の不足です。

神経や血管を傷つけるリスク

インプラントの手術は骨に穴をあけます。
特に下あごは大きな神経や血管があるため、CTでの検査は欠かせません。その検査や診断の不足で神経や血管を傷つけてしまい、神経麻痺などがおきたケースが報告されています。

インプラントのリスク下あご

上あごの上顎洞を傷つけるリスク

上あごの場合は、上顎洞という空洞が頭蓋骨にあります。
上顎洞までドリルが突き抜けてしまい、腫れや炎症をおこすケースも報告されています。

インプラントのリスク上あご

CTを使い立体的な画像で、患者さまのあごの骨の形や神経の位置などを把握して診断していれば、このようなリスクを避けることができます。
インプラントを埋入する安全な位置を診査し決定しなかったことが「人為的なミス」だと考えています

人が行う以上100%はありませんが、当院の7000歯以上の症例では一度もおきていません。

治療技術の不足でおこるミス

設備や治療計画がきちんとなされていても、インプラントの治療には技術が必要です。

ドリルで骨を削る時、ドリルや骨が熱を持たないように注水しながら行います。注水が不足したまま治療をすすめると骨が熱で死んでしまったり、ドリルの方向を間違え、血管を損傷して出血してしまう可能性があります。

「人為的なミス」の対処方法

多くの歯科医院がインプラントの治療を行っていますが、設備、治療技術や経験は広範囲にわたります。

インプラントの治療は高度な歯科医療です。歯科医師免許を持っていればできるだろうと思われている方もいらっしゃいますが、大学でインプラント技術は、ほとんど習いません。

インプラントの治療はどの医院で治療しても同じではありません
技術と経験があり、常に勉強している歯科医師であること、そして信頼ができると思った歯科医師から治療を受けることを強くおすすめします

名医でも起こる可能性があるリスク

インプラントと骨が結合しない

インプラントの治療は、インプラント本体のチタンと骨がくっつく現象で、しっかりと噛めるようになります
インプラントの手術後、インプラント本体と骨がくっつくのを待ちますが、1%ほどの確率でインプラントがくっつかないことがあります。これは当院でもおこり得ます。
原因は、大きな力がインプラントにかかったり、菌の感染、喫煙など様々です。

くっつかなかった場合、当院では、再治療(再度インプラントをいれる)を行います
当院では、このような再治療に関しては費用はいただきません。

「インプラントが結合しない」場合の対処方法

インプラントと骨が結合しないことは、どの歯科医院でもおこり得ます。
割合は少なくても、おこるかもしれないことについて事前に説明があり、このようにインプラントが結合しなかった場合、再手術を行う歯科医院での治療がおすすめです。

インプラントが長持ちするかどうかのリスク

インプラント周囲炎のリスク

せっかくインプラントの治療をしても、天然の歯と同様にインプラントの歯周病(インプラント周囲炎)になることがあります。インプラント周囲炎になると、周りの骨が細菌によって少しずつ溶けてしまい、やがてインプラント本体が露出して抜けおちてしまうことがあります

残りのご自分の歯を含め、インプラントを長持ちさせるためにメンテナンスを行うことが大切です

歯ぎしりや食いしばりによるリスク

寝ている時の歯ぎしりは、起きている時と比べて、とても大きな力がかかっています。そのため、インプラントを支えているあごの骨に負担がかかり、かぶせ物が動いてしまったりインプラントが折れてしまったりすることがあります。

歯ぎしりは、インプラントだけではなく、天然の歯も破損させてしまう可能性があります。歯科医院でナイトガード(マウスピース型の歯を守る装置)を作り、就寝時に歯を保護する必要があります。

歯ぎしりから歯をまもります

インプラントが長持ちするように

インプラントは手術して終わりというわけではなく、天然の歯と同様に継続的なメンテナンスが必要です

お家でご自身で行う歯みがき・ホームケアと数ヶ月に1度の歯科医院でのメンテナンス(プロケア)の両方で歯を守っていくことが大切です。歯科医院での検診を受けていれば、歯ぎしりによるインプラントの損傷やインプラント周囲炎(歯周病も含む)なども早期に治療ができます

インプラントの治療の前から、治療後のメンテナンスのこともしっかりとした説明があり、継続的にメンテナンスをしてくれる歯科医院で治療されることをおすすめします。

▶︎インプラントを長持ちさせるには

より安全で安心なインプラントの治療のために


インプラント治療についてご心配のことも多いかと思います。
当院では患者さまお一人おひとりとのカウンセリングを大切にしながら治療をすすめてまいります
お気軽にお問い合わせください。


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執筆者

野田阪神アルプス歯科
院長/歯科医師/博士(歯学)

橋本 栄

大阪大学歯学部卒
大阪大学大学院 歯学研究科 顎口腔機能再建学講座/有床義歯補綴学・高齢者歯科学分野